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刻キタルの
不思議な役員担当制度

岸 勇希

こんにちは。刻キタル代表の岸です。
前回のコラムでは、私たちが最重要プロジェクトと位置付けている「PARTNERS MEETING」についてご紹介をしました。多くの方にお読み頂き、ありがとうございました。
さて、今回は刻キタルならではの人事制度についてご紹介をしたいと思います。

 

各役員が担当しているのは?

刻キタルは、アシスタントスタッフ1名を除く5名全員が役員です。そして代表の私を除く4名はそれぞれ、役員として担当領域をもっています。通常どの会社でも「事業開発担当役員」とか、「営業担当役員」みたいな感じで担当を持っていると思いますが、ここが少し変わっています。

刻キタルの役員も、当然領域の担当をもっていますが、それとは別に、あるものを担当しています。それは「気持ち」です。各役員、自分の担当する形容詞があるのです。

 

間宮洋介 取締役/ストラテジスト/「正しい」担当役員

岡部将彦 取締役/クリエーティブ・ディレクター/「おもろい」担当役員

仁藤安久 取締役/クリエーティブ・ディレクター/「うれしい」担当役員

飯島章夫 取締役/プロデューサー/「めんどくさい」担当役員

 

冗談のようですが、本当の話です。

「エモーショナル・ディレクション・システム」

私たちはこの仕組みを「エモーショナル・ディレクション・システム」と呼んでいます。
話しは変わりますが、皆さん企画会議をしていて、一度くらいは陥ったことはないでしょうか。「正しいと思うけど、なんかつまらない・・・」とか、「自分たちは面白いけど、お客さん喜ばないんじゃない?」なんていう場面です。

私たちは、アイデアとデザインで企画を生み出していきます。最終的なアウトプットはプロジェクトごとで色々ですが、大切なことは、いずれにせよそのアウトプットが、人の気持ちを、感情をしっかり動かすものであることです。裏を返せば、人を動かすだけの強いものになっているが大事です。「エモーショナル・ディレクション・システム」は、自分たちのアウトプットがどのような気持ち(読後感)を提供するものか、全方位から検証していく仕組みです。

ちなみにこれを言うと、飯島や間宮から嫌がられますが、担当している「気持ち」は、岸が独断と偏見で、各メンバーの気質や性格を反映して決めています。この、強制的に負わされた「気持ち」を、企画会議や役員決済時に背負って、議論していくわけです。具体的にはこんな感じになります。

 

間宮:「論理的に考えるとこの戦略が一番正しい。説明力もあるし、否定できないだけの根拠もそろってる。」

岡部:「うーん。正しいのはわかるんですけど、なんというか、それつまんなくないですか?やりたくならないじゃないですか。」

仁藤:「それって、クライアントは喜ぶかもしれませんが、結局ユーザがうれしくないからじゃないですかね?受け取り側のうれしさが足りてないですよね。」

飯島:「全然関係ない話ししていい?そもそもこの企画でいいんだっけ?」

全員:「え、今それ言います・・・・」

 

こんな感じです(かなりリアル)。

 

もう一度言いますが、冗談のようですが、本当の話です。各人の人間性はともかく、「気持ち」に責任をもって(役割をもって)、企画や意思決定時に参加することで、企画そのものが世に出た際、どういう感情(反応)が得られるかを、検証してくわけです。

私たちは商品やサービスでも、またPRや広告のようなコミュニケーションであっても、世の中に何かを投げかける以上、単にそれがビジネス的に機能すれば十分だとは思っていません。当たり前ですが、人間には心があります。気持ちの動物です。嬉しかったり、楽しかったり、不安だったり、高揚したり。エモーショナル・ディレクション・システムは、人の気持ち(心)からアイデアを鍛え上げていくために、私たちが生み出した、刻キタルらしい仕組みだと思っています。

 

ということで今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

*この記事を公開するにあたり、飯島より「なんか俺自身が面倒くさいやつみたいじゃん。役割だよ、役割。」という指摘がありました。念のため記述しておきますが、飯島は決してめんどくさい人間ではありません。あくまで役割として、常にめんどくさいことを言っているに過ぎませんので、ご了承下さい。

岸 勇希
YUKI KISHI
2004年に電通入社。2008年「コミュニケーションをデザインするための本」を上梓し、広告界にコミュニケーション・デザインという概念を提唱。以後、同領域の第一人者として業界を牽引。2014年に電通史上最年少でクリエーティブの最高職位エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに就任。2017年4月に独立。広告に限らず、商品開発やビジネス・デザイン、テレビ番組の企画や制作、楽曲の作詞、空間デザインに至るまで、幅広くクリエーティブ活動に携わる。これまで企業や大学、行政機関などで、累計500回以上講演やセミナー、ワークショップを行ってきた経験を持つ。